【書評】実践すれば無駄な会議が効率的になる「amazonのすごい会議」佐藤将之

無駄会議撲滅書評
こんな方におすすめ

・会議が多くて仕事に支障をきたしている人
・会議で一言も発しなかったり内職している人
・無駄な会議から効率的な会議にしたい人

この本を読んで得られるもの
・不要だと思われる会議を減らす術が分かる
・効率的な会議資料の作り方が分かる
・効率的な会議の進め方が分かる

無駄な会議で溢れている

皆さんは、有意義だと思える会議を100%行えているでしょうか。

 

私は、有意義な会議が出来ていると言い切れる自信がありません。

それどころか、無駄な会議をが当たり前のように日々開かれ、思わず愚痴を溢してしまうこともあります。

会議が長引いた影響で、残業を強いられたり、終了時間が設定されてないが故に全然関係のない雑談を持ち込まれることもありました。

パーソル総合研究所が立教大学と共同で行った調査によると、従業員1万人規模で無駄な会議による損失は1社あたり年間15億円にのぼるそうです。

どうにかして、この無駄な会議から脱却できないだろうか。

そんな中、kindleを漁っていると、思わず目に止まってしまった本がこちらです。

 

「amazonのすごい会議-ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法」佐藤将之

題名が「すごい会議」と抽象的ですが、中身は具体的で理想の会議に近づけるための術が書かれています。

 

ここでは特にすごいと思った方法を、4つピックアップしてご紹介します。

概要

著者:佐藤 将之 
出版社:東洋経済新法社
出版年月:2020年10月1日

著者の佐藤将之さんは、セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして2000年7月に入社しました。

2005年よりオペレーション部門にてディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与し、2016年に退社しました。

その後は、鮨職人として日本の食文化の発展に携わりながら、今までの経験を活かして経営コンサルタントとしても活躍されています。

情報を伝達する会議は不要

組織に数多く存在する「情報伝達会議」は、当初は目的を持って開始されたものだと思います。しかし、現在ではしがらみや習慣で続いていることもよく見受けられます。こうした会議では、誰か1人が話している間、他の人は待機状態になり、生産性を下げる元凶となっています。

「情報伝達会議」は、基本的にやる必要はありません。

まず、会議を改善させる前に、すべきことがあります。

その会議が本当に必要であるかどうか考えることです。 

 

会議を見直す目的はあくまで「業務の効率化」であるため、会議の改善を行う前に「会議の必要性の有無」を考える必要があるということです。

会議を減らすと言ってもアイデアを出し合ったり、会社の方針を決めたりする会議を減らすことはハードルが高いと感じるかもしれませんが、情報を伝達する会議はどうでしょうか。

目的が曖昧で習慣的に行っている「情報伝達会議」を減らすのは、ハードルが低く感じませんか?

 

今は、メールでもチャットでもやりとりできる時代です。

文章のやり取りは、好きな場所から好きな時間に送ることができま。メールやチャットを送られた相手も、好きな場所で、好きな時間に確認することができます。

 

それに対して会議は、相手の時間を拘束する他、場所を確保する手間が発生します。

 

 

まずは会議の断捨離をしてみることが大切です。

アマゾン流 資料作成のルール

皆さんは、会議を行うとき、どんなことを準備するでしょうか。

 

出席者の予定確認、場所の確保、案内等、多岐に渡るタスクをしていると思います。

そして何より、会議の生産性を高めるためには資料の用意ではないでしょうか。

会議の成否は資料で決まる

 

資料が無い会議には、以下のような欠点があります。

・議論のテーマや目的が分かりにくい
・共通認識できるデータがないので持論を述べられやすい
・本題から逸れやすい

慣習的に行なわれている会議で、議題がないケースは最悪です。

 

出席者の体調が崩れてしまった場合には、代理で出席することがあるかもしれません。その時に、何を目的とした会議なのか分からなければ、的外れなことを発言してしまうかもしれません。

 

会議に資料は必要なのです。

そして、ただの資料ではなく、良い会議資料を用いることで効率的な会議をすることができるのです。

良い会議資料は、次の条件を満たす資料です。

・会議の趣旨、目的が明確である

・少ない労力、少ない時間で読むことができる

・いつ誰が読んでも確実に伝わる

 
この条件を満たすためにはどうしたら良いのか、アマゾンで行われていることの一部を紹介します。

資料はナレーティブで書く

ベゾスが2006年頃に設定したのが、「会議の資料は箇条書き禁止。ナレーティブを用いる」、つまり文章で書くというルールです。

上記の通り、アマゾンでは、会議の資料は「箇条書き禁止」「その場で読んですぐに理解できる文章(ナレーティブ)をで書く」というルールがあるそうです。

私が参加する会議では、箇条書きで記載されたパワーポイントの資料を目にすることが多いのですが、もしこれがアマゾンであった場合、注意されるどころか、会議は中止せざるを得ないかもしれませんね。

箇条書き禁止の理由は次の通りです。

・人によって解釈の違いが生じやすい
・記載されていない発表者の思いや考察を思い出すことが難しい
・発表者は口頭で補足できるので資料の精度が雑になる

このように、会議の中で小さな誤解が生じて意思疎通できないと、会議を行った本来の目的が達成できなくなる恐れがあります。

また、パワーポイント形式だと、視覚的な印象を残すためにデザインやアニメーションに拘ってしまう人も見かけます。発表された当日は新鮮味がありますが、時間が経過するとともに発表者が口頭で何を言っていたのかを思い出すのは困難ですよね。結果的には、デザインもアニメーションも無駄な作業になってしまうかもしれません。

そのため、アマゾンではパワーポイントや箇条書きの資料は禁止とし、ナレーティブを重視しているのです。

ワード形式で作成するナレーティブには、以下のメリットがあります。

・正しい文章にするためには、整合性を吟味するため、資料の精度が高くなる
・いつ、誰が読んでも、正しく共通認識を持つことができる
パワーポイントと比べて作成時間はかかるかもしれません。
しかしながら、精度の高い資料であれば、複数人を巻き込む会議の場では質問が減り、その分会議の時間短縮を図ることができます。

会議資料は「2種類」に統一する

会議の資料は1ページか、6ページか、その2種類に統一することにしたのです。これが「1ページャー」「6ページャー」と呼ばれるものです。

アマゾンにおいて、会議資料を作成するときはA4用紙で片面「1ページにまとめる1ページャー」か「6ページにまとめる6ページャー」の2択です。
 

「1ページャー」は、簡単な報告をするとき、提案をするときに用いられます。一方で「6ページャー」は、年次予算や大きなプロジェクトを発案するときに用いられます。

たったの2種類しかなくて、どんなに枚数が多くても6枚ではとても説明しきれないと思いますよね。

その点は、以下の決まりを設けて、解決しています。

資料の裏付けとなる細かなグラフや表、関連データなどは、添付資料(アペンディクス)に入れる決まりになっています。

「1ページャー」や「6ページャー」に綴る内容は伝えたいことのみに限定し、質問がきた場合に添付資料に誘導する仕組みになっています。

この添付資料は、枚数制限が無く、何枚でも添付することが可能です。

読みやすい文章を書く2つの鉄則

アメリカでは大学などで、学術的な論文やビジネス・ドキュメントの書き方を教わります。しかし、日本ではビジネス・ドキュメントの書き方を知らないまま就職する人が多いのではないでしょうか。(中略)ビジネス・ドキュメントを作成する上では、その作法に則った文章を書く必要があるのです。

記述の通り、日本では学生時代に社会向けの文章の書き方について学ぶことがありません。会社によっては、外部講師を招いてビジネス文書を学ぶこともあるかもしれませんが、必須ではありません。

ビジネス・ドキュメントに慣れるためには、日々、人のメールを読んだり、ネット上にあるビジネス文書を参考にすることで徐々にビジネス・ドキュメントに慣れていくしかありません。

とは言っても、何に気を付けておけば良いのか分かりにくいですよね。

アマゾンでよく注意される2点を、気をつけてみると良いかもしれません。

①結論を最初に述べてから、事実を基に説明する
②文章は句点「。」を使って短く切る
日本人は、上記2点を逆にしたものをよくやりがちです。最初に経緯や説明を書いてから、結論を述べる。文章は読点「、」を使って長く書く。これだと、何が言いたいのか書き手も読み手も分かりづらくなってしまいます。
 
シンプルを追求して文章を書くと良いでしょう。

プロジェクトリーダーが会議のオーナーになる

会議を進行するとき、誰が進行役を担うべきでしょうか。恐らく、部長や課長など会議の主催者ではなく、部下が進行役を担う企業が多いのではないでしょうか。

アマゾンでは会議の主催者をオーナーと呼び、会議の成否はオーナー次第だと言われています。効率的な会議にするために、アマゾンでは以下の考え方でオーナーを決めています。

アマゾンの会議では、基本的にプロジェクトリーダーやプロジュエクトを推進する人が、会議のオーナー兼ファシリテーターとなります。なぜなら、効率よく、質の高い意思決定をするためには、それが必要不可欠だからです。

進行役と意思決定を下す主催者が別だと、進行役は主催者にお伺いを立てたり、声の大きい人に発言権を握られたりしやすいです。円滑に会議を進めるために、俯瞰的に進行役を担ってもらうのも一つのやり方かもしれませんが、会議の目的は意思決定です。

効率よく、質の高い意思決定をするためには、意思決定をする責任者が、方向性を示しながら進行役を担う方が良いでしょう。

アマゾンの場合、オーナーは以下のような役割を担います。

・会議の招集
・参加者の選出
・議事の進行
・議事録の作成、配信
・意思決定後の進捗確認

会議で言いたいことを言うだけで終わらせるのではなく、進捗確認まで徹底することができれば意味のある会議になりますね。

そして、会議を始めるときは、いきなり議論に入ろうとするのではなく、会議の目的を示し、事前に作成されたナレーティブ資料を15分間黙読してから開始します。

私は社会人5年間やってきましたが、黙読する会議なんて今までに経験したことがありませんでした。しかし、会議時間を短縮するためには理に適った会議のやり方ですよね。

パワーポイント形式の説明だと、行間が分らないので確認事項が増えますが、ナレーティブでは分かるように記載されているので、質問の削減にも役に立ちます。

会議をスリム化する

いくつかアマゾンで行われていることをピックアップしてきましたが、会社の風土を変化させないとすぐには反映されないものが多いと思います。

スピード感を持って会議の質を上げたい場合には、以下を意識すると良いかもしれません。

①目的不明な会議の開催回数を減らす
②絶対に出席してほしい人を招集して出席者を減らす
③会議資料を工夫したり、対面型会議のこだわりを捨てて会議の時間を減らす
④会議出席の頻度を減らす

まとめ

ブログでは4つピックアップして紹介しましたが、その他にも会議の生産性を向上する方法が記載されています。

会議を見直すことで、会議そのものが効率的になるだけでなく、会社の風土を見直すきっかけにもなります。

 

無駄な会議を有効的な会議に変えるにはどうしたらいいのか悩んでいる場合は、アマゾンの会議のやり方を参考に見つめ直してみてはいかがでしょうか。

 

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