猫はソファで丸くなり、ヒトもつられて寝落ちする

ペット

平日の20時。

 

「さあ、今日もブログを書くぞ!」という気持ちで、私はパソコンを開いた。

 

基本的にはマイデスクの上でパソコンを開くのだが、今日は気分を変えるためソファに移動し、膝の上にクッションを置き、その上にパソコンを乗せて作業を開始した。

 

作業開始10分後・・・。

 

隣に「ちょっと横、失礼しますよ」と、矢太郎くんが登場。

私は指を突き出して、軽い挨拶をした。

矢太郎くんが鼻をつき出す行為のことを、鼻チョン挨拶と名づけている。

鼻チョン挨拶は、その名の通り、猫にとっての挨拶なのだとか。

 

挨拶するまでは礼儀正しくていいのだが、毎回嗅ぐだけ嗅いだ後、深いため息をつかれるのは未だに解せない。

 

 

作業開始15分後・・・。

 

隣にいた矢太郎くんは、横になり始めた。

 

「たくわん。構ってくれないのなら、俺はくつろぎ始めるけど、悪く思うなよ」

そう言わんばかりの視線が向けられ、矢太郎くんは気持ち良さそうにくつろぎ始めた。

 

可愛らしい矢太郎くんと遊んであげることができず、罪悪感に苛まれるがブログを書き終えるまでどうすることもできない。

1ヶ月、連続して投稿してきたのに、この勢いをここで途切らせるわけにはいかない。

どうにかして自分を鼓舞し、記事の冒頭に決まり文句の

「こんにちは!山崎たくわんです。」

を書き出した。

 

が、自分のやる気とは正反対に、矢太郎くんは丸くなって気持ち良さそうに寝ようとしている。

「いいから。俺のことは構わなくていいから。」

と、矢太郎くんのありもしない声が脳内再生される。

 

「俺は自由気ままに、やりたいと思ったことをその時にやるだけさ。」

と、ハンサム調な矢太郎くんが私の脳内に語りかけているような気がした。

何言ってるの、ハンサムが!と思いつつも、私はパソコンの画面に目を戻し、作業を再開した。

 

 

 

しばらくして、矢太郎くんはとうとう白目を向いて爆睡し始めた。

 

この様子を見た私は、隣でカタカタ音を鳴らしながらキーボードを打ってるのが申し訳なくなってきた。

それと同時に、無防備で爆睡している矢太郎くんが段々羨ましくなってきた。

 

山崎たくわん
山崎たくわん

ちょっとだけならいいよね。

 

ちょっとだけ。

ほんの5分だけ。

私は矢太郎くんの横で添い寝しました。

 

再び目を開けると、時刻は22時を回ろうとしていた。

5分だけと思っていたのに、2時間も寝てしまった。

 

肝心の矢太郎くんはというと、キャットタワーからこちらに視線を向けている。

「たくわんも自分の気持ちに素直になって生きてて最高だぜ!」

そんなふうに肯定されている気がした。

本来書きたかったブログは書けなかったが、後悔はしていない。

 

猫がソファで丸くなるもんなら、人もつられて丸くなる。

猫と一緒に暮らす生活はそんなもん。

自分が思う気持ちに寄り添って、行動するだけ。

この共存生活が、最高に幸せなのだ。

 

おわり

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